日本でお酒は縄文時代頃からつくられていたといわれるお酒です。
その後、日本酒になり、さまざまな「容器」で保存されてきました。
これらの容器は、単なる入れ物にとどまらず、日本人の生活や文化に深く根ざしてきました。
では、かつて日本酒はどんな容器が使われてきたのでしょうか。
今回は、歴史上日本酒はどんな「容器」で保存されていたのかについて、どこよりもわかりやすくご紹介します。
縄文時代の日本酒の容器
縄文時代の日本酒の容器は「有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)」です。
有孔鍔付土器の特徴は次の通りです。
1⃣縄文土器の一種である
2⃣土器の上口が平である
3⃣上口の下には刀の鍔(つば)のような粘土の帯が付けられている
4⃣帯の上部にはたくさんの小さな孔(あな)が一定の間隔であけられている
5⃣高さは29.9cm、横幅は最大で約36cm
6⃣中央がくびれたひょうたん形
実は縄文時代は日本で初めてお酒がつくられた時代です。
日本で初めてつくられたお酒は山ブドウを原料にした「ブドウ酒」でした。
弥生時代の日本酒の容器
弥生時代の日本酒の容器は「弥生土器(やよいどき)」です。
弥生土器の特徴は次の通りです。
1⃣縄文土器と比べると形・装飾が簡素なつくり
2⃣焼成温度が縄文土器より高い
3⃣壺(つぼ)、甕(かめ)、高坏(たかつき)、鉢(はち)などさまざまな種類の容器がある
弥生時代の日本酒が保存されていたのは弥生土器の貯蔵用の壺だといわれています。
弥生時代になると、日本全土に稲作が広がってきたことから、現在の日本酒の原型がつくられたのではないかといわれています。
古墳時代の日本酒の容器
古墳時代の日本酒の容器は「土師器(はじき)」と「須恵器(すえき)」です。
土師器とは弥生土器の系統の土器です。
また須恵器とは朝鮮半島から伝わった土器になります。
もともとは土師器が主流でしたが、須恵器の方が吸水性が低いことからお酒の保存用として須恵器が使われるようになりました。
飛鳥時代の日本酒の容器
飛鳥時代の日本酒の容器は「土師器」と「須恵器」です。
日本酒の容器に主に使われていたのは須恵器といわれています。
またこの時代から、四角い木製の桝(ます)が登場します。
奈良時代の日本酒の容器
奈良時代の日本酒の容器は須恵器です。
奈良時代には、平城京内に「造酒司(ぞうしゅし)」と呼ばれる国立の醸造所がつくられました。
造酒司は宮廷での酒造りを担っていたことから、須恵器の大甕でお酒を大量につくっていました。
平安時代の日本酒の容器
平安時代の日本酒の容器は「陶器」です。
奈良時代までは須恵器が主流でしたが、平安時代になると衰退し、中国から持ち帰った陶器技術を使って陶器がつくられるようになりました。
鎌倉時代の日本酒の容器
鎌倉時代の日本酒の容器は「結桶(ゆいおけ)」と「結樽(ゆいだる)」です。
結桶は鎌倉時代までは薄い短冊状の板を円筒形に並べ、まわりを竹のタガで締め、底板をつけた桶でした。
結樽は結桶にフタを付けた輸送用の容器のことです。
室町時代の日本酒の容器
室町時代の日本酒の容器は「三石和甕(みいしわかめ)」です。
三石和甕は、陶製の一次甕のことです。
一次甕とは麹・酵母・水を混ぜて一次仕込みをするための大型の甕になります。
三石和甕は容量が約540Lもあります。
戦国時代の日本酒の容器
戦国時代の日本酒の容器は、よりタガ締め技術が向上した結桶・結樽です。
特に輸送用の結樽は戦国時代後期に京都周辺において広まっていきます。
江戸時代の日本酒の容器
江戸時代の日本酒の容器は「酒樽(さかだる)」です。
酒樽はほぼ現在のものとかなり近いつくりです。
酒樽は蔵元でつくられた酒をつめ、問屋、小売店へと売られていきます。
小売店ではお客が買いたい量を告げると、酒樽下部に付けられた呑口から、枡や漏斗を使って、通い徳利に入れて売られていました。
明治時代の日本酒の容器
明治時代の日本酒の容器はガラスの一升瓶です。
日本酒を入れたガラスの一升瓶は明治34年頃から出回りはじめたといわれています。
その後、戦後には市中に出回っている日本酒の容器の99%以上がガラスの一升瓶になりました。
昭和時代の日本酒の容器
昭和時代の日本酒の容器はカップ酒です。
カップ酒は1964年10月10日に開催された1回目の東京オリンピックに合わせて発売されました。
カップ酒は日本酒の大ヒット商品になり、現在でも売れ続けています。
また昭和42年頃には紙パック酒も登場しています。
平成時代の日本酒の容器
平成時代の日本酒の容器は「パウチパック」です。
パウチパックとは日本酒を封入した柔軟性の高いプラスチック製の袋状の容器のことです。
平成23年頃から発売されました。
まとめ
今回は、歴史上日本酒はどんな「容器」で保存されていたのかについてご紹介しました。
日本酒は誕生から、さまざまな容器に保管されてきました。
その後容器の性能がどんどん上がり、いつでもおいしい日本酒を届けることができるようになりました。
時代とともに進化してきた容器は、さらに日本酒文化を発展させてくれることでしょう。
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