日本酒には精米歩合や原料で分類した「特定名称酒」があります。
特定名称酒は「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」の3つに大きく分かれます。
3つの中で若干わかりにくい存在なのが「本醸造酒」です。
では、本醸造酒とは一体どんなお酒なのでしょうか。
今回は日本酒の「本醸造酒」とは何か・本醸造酒の特徴・おすすめの料理について、どこよりもわかりやすくご紹介します。
「本醸造酒」とは何か?
本醸造酒とは精米歩合が70%以下で、原料にお米・米麴・水・醸造アルコールを使っており、香味、色沢が良好なお酒のことです。
本醸造酒の読み方は「ほんじょうぞうしゅ」と読みます。
特徴は醸造アルコールの添加量が原料米の総重量の最大10%未満であることです。
これは普通酒の添加量と比べるとかなり少ない量になります。
ちなみに普通酒に添加できる醸造アルコール量は原料米の総重量の50%以下です。
本醸造酒を一言でいうと、控えめにアルコールを添加したお酒ということになります。
❶精米歩合が70%以下とは?
精米歩合が70%以下とは、玄米を精米した時に、削って残った部分が70%以下であるということです。
❷本醸造酒が精米歩合を70%以下にする理由
本醸造酒が精米歩合を70%以下にする理由は「純米酒」や「吟醸酒」と被らない味わいのお酒をつくるためです。
もしこれ以上精米歩合が上ると味わいが「純米酒」に近くなり、下がると「吟醸酒」に近づきます。
丁度精米歩合を70%以下にすることで、どちらにも被らない味わいのお酒をつくることに成功しました。
結果、本醸造酒はほどよくスッキリした味わいのお酒になりました。
❸本醸造酒が醸造アルコール添加が10%未満である理由
本醸造酒が醸造アルコール添加が10%未満である理由は酒質を安定させ、香りを出しやすくするためです。
これ以上醸造アルコール量が増えると辛みが強くなり酒質が変わるので10%未満に抑えてあります。
また逆に醸造アルコールを10%未満でも添加することで、アルコールに「吟醸香」を溶け込ませることができ、搾って清酒になった時に香りが出やすくなる効果があります。
これらの理由で本醸造酒には醸造アルコールを10%未満添加しています。
「本醸造酒」の特徴
こちらでは本醸造酒の特徴についてご紹介します。
❶味わい
本醸造酒の味わいの特徴は淡麗でスッキリしてキレがある味わいです。
もともと辛口ですが、さらに添加される醸造アルコールそのものが強い辛口なのでピリッときます。
若干純米酒に近い風味があり、お米の旨味を味わうことができます。
ただし純米酒のように甘味は強くありません。
❷香り
本醸造酒の香りの特徴はやや控えめな香りです。
吟醸酒のような強い吟醸香はありません。
お米の香りがゆるやかにふわっと香る感じです。
❸後味
本醸造酒の後味の特徴は爽快感があることです。
クセが少ないので、何度飲んでも飲み飽きない後味の良さがあります。
❹アルコール度数
本醸造酒のアルコール度数は15〜17度前後です。
普通酒よりも若干アルコール度数が高くなりがちで辛口寄りです。
「本醸造酒」の種類
本醸造酒の種類は次の2種類です。
❶本醸造酒
本醸造酒とは精米歩合が70%以下で、原料にお米・米麴・水・醸造アルコール10%未満でつくられるお酒です。
本醸造酒は特定名称酒の中で「純米酒」と「吟醸酒」の丁度中間にあり、普通酒よりも上のランクにあります。
醸造アルコールの効果でスッキリとキレがあり、飲み飽きしないお酒です。
❷特別本醸造酒
特別本醸造酒とは精米歩合が60%以下で、原料にお米・米麴・水・醸造アルコール10%未満で、特別な製造方法でつくられるお酒です。
特別本醸造酒は本醸造酒と比べると、若干「吟醸酒」に寄せてつくられたお酒です。
1⃣精米歩合を60%以下に精米する理由
精米歩合を60%以下に精米をする理由は「吟醸酒」や「大吟醸酒」のように華やかな香りを出すためです。
2⃣特別な製造方法とは何か?
特別な製造方法とは各酒造メーカーや蔵元などのこだわりのつくり方のことです。
特別な製造方法には次のようなものがあります。
・長期低温熟成
・有機米のみ使用
・山田錦100%使用
・麹米を2倍以上使用
「本醸造酒」におすすめの料理
本醸造酒は基本的にどんな料理でも合います。
特におすすめなのは油っぽいものや味が濃いものです。
油っぽいものとはフライや揚げ物などです。
味が濃いものとは魚の煮付けなどになります。
本醸造酒はクセが少なく、スッキリした味わいなのでほとんどの料理にあります。
ただしあまりにもあっさりした料理だと、お酒もあっさりしているので若干もの足りなさを感じるかもしれません。
まとめ
今回は日本酒の「本醸造酒」とは何か・本醸造酒の特徴・おすすめの料理についてご紹介しました。
本醸造酒は純米酒や吟醸酒と比べると、若干個性が控えめなお酒です。
純米酒と吟醸酒を抑えて前に出る強さはありませんが、これといって悪いところもありません。
本醸造酒は普通酒の上位酒なので、普通酒よりも美味しいお酒を探している人におすすめです。
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