お祝いの鏡開きの時によく飲まれるのが「升酒」です。
升酒でキレイに飲める人を見ると「この人日本酒通だな!」と感じることでしょう。
升酒は日本酒をスマートに飲ませる飲み方です。
では、升酒とは一体どんなお酒なのでしょうか。
今回は、日本酒の「升酒」とは・升の種類・日本酒を「升酒」で飲む理由について、どこよりもわかりやすくご紹介します。
日本酒の「升酒」とは何か?
日本酒の升酒とは日本酒を木製の「枡(ます)」の容器に入れて飲む飲み方のことです。
升酒の読み方は「ますざけ・ますさけ」と読みます。
そもそも「升」とは何か?
升とはもともとは液体や穀物などの量を計るためにつくられた四角い箱型の容器のことです。
材質は主に木材、または金属が使われていました。
升で計られていたものは次の通りです。
1⃣液体
液体はお酒・油・水など
2⃣穀物
穀物はお米・麦・粟・その他など
3⃣その他
芋・小魚・繭など
❶升のサイズの種類とは?
升のサイズの種類は次の6種類です。
1⃣二勺升(にしゃくます)
2⃣五勺升(ごしゃくます)
3⃣八勺升(はっしゃくます)
4⃣一合升(いちごうます)
5⃣五合升(ごごうます)
6⃣一升升(いっしょうます)
単位は一勺の10倍の量が一合、一合の10倍の量が一升です。
またリットルに直すと一勺が18ml、一合が180ml、一升が1800mlになります。
一般的に祝い事や結婚式などで升酒に使われるのは「一合升」です。
❷「木升」と「塗枡」の違い
升は大きく分けると木升と塗枡に分かれます。
こちらではそれぞれの違いについてご紹介します。
1⃣木升とは?
木升とは木材でつくられた升のことです。
特徴は使われている木の香りが日本酒にうつるのでいい香りを嗅ぎながら日本酒を飲むことができます。
升酒を飲む時のスタンダードが木升です。
2⃣塗枡(ぬります)
塗升とは表面に漆塗がされた升のことです。
特徴はお祝いの席に使ったり、記念品や贈答品として贈られます。
塗升のつくりは一般的に外側は黒色、内側は赤色です。
そのため塗升で升酒をするとプレミアム感が出ます。
❸升の木材の種類とは?
升に使われる木材の種類は次の3つです。
1⃣杉(すぎ)
2⃣檜(ひのき)
3⃣樅(もみ)
これらの木材が升に使われる理由は、縁起が良い木材とされているからです。
これまで神社の材料、神事の器材・容器などで使われてきました。
❹升のタイプ
こちらでは升のタイプについてご紹介します。
1⃣無地杉升
2⃣無地檜升
3⃣無地樅升
4⃣名入れ升
5⃣焼き印升
6⃣塗升
7⃣万能升
8⃣祝升
9⃣丸升
一般的に升酒に使われる升は無地杉升、無地檜升、無地樅升、塗升です。
「升酒」が主流になったのはいつから?
升酒という飲み方が主流になったのは昭和30年代くらいからです。
一見、升酒というと江戸時代が主流のようなイメージがありますが違います。
その理由は昭和30年代くらいに「計り方」が尺貫法からメートル法へ完全移行したからです。
つまり昭和30年代を境に升は「計り」としての役目を終えました。
そして昭和48年になると、日本酒生産がピークを迎え170万㎘を超えます。
これにより祝の席で升酒はよく飲まれるようになりました。
日本酒を「升酒」で飲む理由とは?
日本酒を升酒で飲む理由は次の3つです。
それぞれご紹介します。
❶木の香りを楽しむことができるから
1つ目の理由は木の香りを楽しむことができるからです。
日本酒を升で飲むと、木の香りがお酒にほのかに移り、独特の風味を醸し出してくれます。
特に杉・檜・樅などは升酒にぴったりです。
一口飲むたびに口の中に木の香りが広がり、美味さも増すことでしょう。
❷縁起物だから
2つ目の理由は縁起物だからです。
升の材料に使われる杉・檜・樅などは、古くから神事や神社によくつかわれていました。
そのため升は計りの道具としてだけでなく、縁起物としても使われるようになります。
その理由は升は「増す」「益す」などと同音異語で、家系の運気を「ますます」良くするという意味につながるからです。
これらの点から升酒は祝い事や特別な日の象徴として多くの人たちに活用されてきました。
❸古くから日本人に親しまれてきたから
3つ目の理由は古くから日本人に親しまれてきたからです。
昔から升はお酒の量を計る道具として日本人のすぐ近くにありました。
その後、お酒を計るだけでなく、お酒を飲む道具に変わります。
そしてさらに日本人の特別の日にお酒を酌み交わすための大切な器へと昇華していきます。
それにより升酒は日本人にとってかけがえのない晴れの日の象徴となり親しまれる存在になりました。
なぜ「升酒」は飲む時に「塩」を盛るのか?
升酒を飲む時に升の角に塩を盛る理由は、日本酒には甘味、旨味、苦味、酸味の4つの味がありますが「塩味」だけが不足しているからです。
例えると、スイカに塩をふると、よりスイカの甘味が引き立つことに似ています。
まとめ
今回は、日本酒の「升酒」とは・升の種類・日本酒を「升酒」で飲む理由についてご紹介しました。
現在も祝い事などの鏡開きなどには升酒がよく振舞われます。
升酒を飲むと、気分があがりウキウキしてきます。
もしまだ升酒を一度も飲んだことがない方は、ぜひ升酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
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